運命の人

 「面白くないな」

 心の声が口に出てしまった。
 はっと我に返り、謝る。

 「ごめんっ」

 「いえ、私こそすみません。佐々木くんのことばかり話してしまって」

 「いや、悪いのは俺だから」

 と言っても彼女は俯き、口を閉じてしまっている。
 仕方ない。
 予定ではもう少しあとに言うつもりだったけど、ここは正直に言おう。

 「彼に嫉妬したんだ」

 「え?」

 彼女は首を傾げて俺の方を見た。

 俺は言葉を重ねていく。

 「樋口さんに彼氏がいるかどうか、先日の彼との関係は何なのか。すごく気になっていた」

 そこまで言って彼女の反応を横目で見る。 
 困惑した様子で固まっていた。

 「ごめん。まだ会って間もないのに何言ってるんだって思うよね」

 謝ると、彼女は首を横に振り、意を決したように硬い口調で質問を投げかけてきた。

 「私も聞いていいですか?」
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