運命の人
 「終点〜終点でございます」

 アナウンスが車内に響いている。

 「お忘れ物、落とし物ございませんように」

 「え?!」

 アナウンスの内容に驚いてガバッと顔を上げて辺りを見回すと同じ車両の乗車客はみんな降りていた。

 「まさか」

 「終点〜終点でございます」

 はっきりと耳に届いたアナウンスに、やってしまったと頭を抱える。
 その拍子に肩に寄りかかっていた男性が起きた。

 「え…え?ここは」

 男性は私と同じように周りをキョロキョロ見回し、「終点〜」のアナウンスで状況を理解したようだ。
 立ち上がり、急いでホームへと降りて行った。

 「私も降りなきゃ」

 続いて降てりてから、次の上り列車がまだあるのかをスマホで急いで調べた。

 「よかった。まだあと2本ある」

 ホッと胸を撫で下ろし、反対側のホームへと向かう。
 とその時。

 「すみません」
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