運命の人
「お友達に私のこと、話してくれているんですね」
どんな風に話されているのか気になるけど、ちゃんと話してくれているのだと知れて、嬉しくて口元が緩む。
「今度会わせるよ」
「楽しみです。どんな方たちなんですか?」
メインのパスタを食べながら如月さんの友達の話、学生の頃の話を色々と聞いた。
「学生時代の如月さん、見てみたかったな。カッコよかったんでしょうね」
「澪は今とあまり変わらなそうだよね」
「どうでしょう?今度卒アル見せますね。如月さんのも見たいな」
「卒アル?あぁ、実家だ。じゃあ今度一緒に行こうか」
それってご両親と会うってことだよね?
「いいんですか?」
「なにが?」
「その…ご両親に私がお会いしても」
「もちろん。喜ぶよ。彼女連れて行ったことないから。あ、でも結婚の挨拶と勘違いされるかもな」
如月さんはそう言うと腕を組み、視線を左上に向けた。
なにかを考えている。
そう察した私は黙ってパスタをフォークで巻きながら次の言葉を待つ。
すると突然、視線がこちらを向いた。
そして焦点が合った時、如月さんは短く言った。
「結婚しよう」
「え?」
「結婚しよう。俺と」
「えぇ?!」
あまりにも唐突で思いもよらぬ言葉に、フォークにくるくる巻いていたパスタが一気に解けた。