運命の人
「私たちは運命の相手なんですか?」
スピリチュアルを信じたことがない私は信じきれなくて疑問を投げかけた。
でも如月さんも実は同じようで困ったよう微笑んで肩をすくめて見せた。
「じゃあやっぱり離れても大丈夫かどうかなんて分からないじゃないですか」
「いや、大丈夫だ」
如月さんは迷いなくハッキリと言う。
「澪を想う気持ちに揺るがない自信があるから。どんなに離れていても。すぐに会えなくても。想い続けられる。ただ俺は、澪の事となると感情的になるし、自分を見失ってしまうから。だから結婚という法的に認められた形を取って安心したい」
「如月さん……」
まさかそんな風に想ってくれていたなんて。
軽い気持ちで結婚を口にしたのかもなんて最低な考えだった。
「私、如月さんに出会えて本当によかった」
「澪、泣かないで」
如月さんは立ち上がり、私のそばにしゃがみ込んだ。
それからいつもと同じように目元を拭ってくれる。
その優しくて温かい手に、自身の手を重ねて答える。
「結婚します。私を如月さんのお嫁さんにしてください」
「本当に?」
目を見開き、驚いている如月さんに笑顔で頷く。
「私も如月さんを想う気持ちに揺るがない自信があるので。転勤だって別居婚だってどんとこいです!」
「一緒に暮らすのが一番なんだけどね」
如月さんは困ったように笑った。
その笑顔に飛びつく。
「ちょっと、澪?!ここ、お店だから」
焦る如月さんが可愛くて愛おしい。
でも場はわきまえるべきなので腕を解く。
その代わり、耳元で囁くことにした。
「世界で一番、大好きです」