四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!
その日以降、皐月くんから個人的に誘われることはなかった。

四季くんと三人でお出かけすることはあったけれど、
四季くんも皐月くんもその話題を出さなかったし、
そこに海斗さんが来ることもなかった。

私自身のことは何も変わらないまま、夏休み中も四季くんとおだやかな毎日を過ごして、
たまに夕凪と宿題に明け暮れる地獄を過ごしたりした。

「そう言えば…ね、シュリ」

夏休みが終わる一週間前。

最後の追い上げで夕凪と数学の宿題をやっつけているときだった。

最初は熱心に教えてくれていた夕凪も次第に疲れてしまって、ついにはドリルを丸写しさせてくれていた。

「んー?」

「みのり、彼氏できたんだよ」

「………うぇっ!?そうなの!?」

「うん。私の紹介?っていうか、合コンみたいなのしたんだ」

「えっ、いつ!」

「アレがあったすぐ後だよ。弟がさ、女子何人か集めて遊びに行かないかって言ってきて」

夕凪にはひとつ下の弟がいる。
男子校に通っていて、友達が夏休みくらい女子と遊びたい!って騒いだそうだ。

中学の友達に声をかければ良かったものを、
弟くんはなぜか「お姉ちゃん」に声をかけたわけだ。

「もうみのりは大丈夫だってシュリのことも安心させたかったしさ。ま、あのみのりを押しつけるって言ったら言葉悪いけど…そこは気の重さもあったけどね?お互いがいいならいっかーって」

あはは!って夕凪は豪快に笑った。

夕凪、あれからもみのりちゃんのこと見放さなかったんだ。

まるで保護者というか、
姉御!って感じの夕凪、かっこいいなぁ。
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