四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!
始業式が終わって、夕凪と校門で別れた。

あれからもやっぱり四季くんからの連絡は無い。
絶対におかしい。

朝から全然連絡をくれないなんてこと、今までに一回もなかった。

休みの日だったら用事があるのかもしれないって思えるけれど、
学園に来ていることは確認済み。

このままにはしておけなくて、
もう一度、校舎に戻ることにした。

三年生の教室に行くのはまだ慣れない。
学年はひとつしか変わらないのに、「先輩」っていうオーラが充満している気がする。

四季くんのクラスまで行ってみたけれど、
教室の中にも廊下にも四季くんは居ないし、皐月くんの姿も見当たらなかった。

「あれー?星乃の彼女ちゃん?」

教室の中をチラチラと覗いていたら後ろから声をかけられて振り返った。

三年生の男子が二人、私を見下ろしている。
知らない先輩だったけど、たぶん四季くんのクラスメイトなんだと思う。

「星乃のこと迎えに来たの?」

「え…っと、はい…」

「星乃は出ていったから知らないけど、若葉なら体育館だよ。な?」

「ん。なんか気晴らしにバスケしに行くって」

「バスケ、ですか?」

「うん。あいつさ、別にバスケ部の経験もないし、背も小さいほうなのに妙にうまいんだよな」

「そうなんですね。ありがとうございます」

皐月くんのことを楽しそうに話す先輩達を見ていたら、
皐月くんがクラスでも愛されキャラなことが分かる。

先輩達に頭を下げて、私は体育館に向かった。

気晴らしってなんだろう。
なんで四季くんは一緒じゃないんだろう。

心臓のドキドキが速くなる。

今、私の中には不安な気持ちしかなかった。
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