四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!
「見てくるね?」

もう一度、頭にぽんって手のひらを乗せて撫でてくれた四季くんが、パタパタとスリッパの音をさせて、玄関へ向かった。

「………お前かよ、びっくりさせんなよ」

玄関のほうから聞こえてくる四季くんと、
聞き覚えのない男性の笑い声。

泥棒ではなかったことにひとまず安心した。

リビングに男性を連れて戻ってきた四季くんは、
ちょっと不服そうに眉間に皺を寄せて「シュリ、ごめん。これ、いとこ」って雑に紹介してくれた。

「なんだよ四季。一丁前に彼女連れ込んで。ごめんね、そういうことになってた?俺、邪魔しちゃったかな?」

いとこさんの言葉に顔が赤くなるのを感じて俯いた。

四季くんのご親族はこんなにオープンなの!?

「そーだよ。分かったら帰ってくれる?」

「冷たいなぁ。えっと、夏瀬海斗(なつせ かいと)です。四季とは母方のいとこなんだ」

「初めまして。三神(みかみ)シュリです」

「へー。四季ってやっぱ面食いなんだな」

「やっぱ」って…?

ううん、やっぱそうだよね。
元カノくらいいるよね。

って、そうじゃなくて。
四季くんが面食いなら、そこに私は含まれないはず。

どこにでもいる、平々凡々な女だもん。

四季くんの家に遊びに来るようになったのは実は最近で、だから一年以上付き合ってるのに海斗さんに会うのは初めてだった。
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