四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!
嫌な時間ってあっという間にやってくる。

楽しみなことは何ヶ月も先に思えるのに、
放課後がこんなに憂鬱なことなんて初めてかもしれない。

「ごめんね、シュリ。今日お母さんと約束してるからついていけなくて…」

「全然!お買い物でしょ?いいなー!」

「なんか可愛い物あったらお土産買ってくるね」

「そんな旅行みたいに!」

夕凪と笑い合って、手を振って教室を出た。

正直、一人で柳瀬のところに向かうのは気が重い。
あいつ、前科があるし…。

でも今回の呼び出しは私に非があるし、
ちゃんと反省して受け入れなきゃ…。

一階の下足箱前。

家庭科室や購買部、空き教室が並んでいて、保健室がある。

向かいに生徒相談室があって、その横が生徒指導室だ。

階段より少し奥まった場所にあって、
放課後になって保健室が閉まっていると、ちょっとひっそりとした雰囲気になる。

今日は相談室のカウンセラーの先生もお休みみたいで、
いつもより静かに感じた。

生徒指導室のドアをノックする。

中から柳瀬が返事をする声が聞こえた。

「三神です…」

「入れ」

ガラガラとスライド式のドアを開けて、大きく深呼吸をする。
生徒指導室には柳瀬以外、誰もいなかった。
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