四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!
上から下まで私を見ながら、
ことりさんは鼻で笑った。

「四季ってば…いつから幼女趣味になったの」

「フツーだから!高校生が高校生と恋愛して何がおかしいんだよ!」

「さっきからギャーギャーうるさいわね。あんたらこそバグった恋愛しといてゴチャゴチャ言うんじゃないわよ」

「なッ…!」

「皐月、苦し紛れの嫌味だからほっとけ」

「海斗の趣味も分かんないわね」

「ことりさん…ほんとに、自分が恵まれないからって皐月くん達に八つ当たりするのはやめてください」

「は?」

「皐月くん達の想い合う気持ちを否定する権利なんて誰にもありません。もちろん、四季くんがあなたのことを本当に今も好きなら私は大人しく身を引きます。でも絶対にそれはないって四季くんのことを信じてるから、私は何度あなたが攻撃してきても引き下がりません。今のあなたは滑稽で可哀想だって教えてあげます」

「一生懸命強い言葉使って威嚇しちゃって可愛いわね?あのね、分かってるの?」

ことりさんが口角を上げて、嫌な笑い方をした。
私を蔑むような目。
チカチカと脳裏に残りそうな真っ赤なリップ。

すごく美人なひと。
花に例えるならば、間違いなく薔薇が似合う。

でもその美しさに反して、ことりさんは体中、どこを触っても棘にしか指が当たらない。

儚さなんてどこにも感じられなかった。
< 217 / 233 >

この作品をシェア

pagetop