四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!
そんなことを話していたら、
教室の後ろのドアのほうに見えた人影。

みのりちゃんだ。

教室の中をキョロキョロと見て、皐月くんを探しているみたいだった。

「四季くんアレ…」

「うん。ちょっと待ってて」

四季くんが席を立った。

待っててって言われたけれど、私も四季くんの後ろからついていった。

「みのりちゃん。皐月ならいないけど、なに?」

優しい口調。
でも有無を言わせないしっかりとした語尾。

いつもの四季くんの雰囲気ではない。

「あ…あの…私、若葉先輩に謝ろうと思って…」

「お昼のこと?」

「…はい。今までのことも…。もうあんなことしないってちゃんと言おうって…」

「ふーん。ちゃんと反省したのは偉いけど、もういいから」

「でもっ!」

「謝られてもさ、皐月は一方的にその言葉を信じるしかないだろ?もしかしたら続いてるかもって疑心暗鬼になるのは皐月なのに」

「本当にもうしません!絶対に!」

「みのりちゃん、シュリに言ったよね?殺人を犯しても悪気がなければ許さなきゃいけないのかって。自分はどうなの?」

「それは…」

「罪を犯したひとを許してあげなきゃいけないときもあるよ。じゃなきゃお互いに前に進めないからね。だからもういいよ。みのりちゃんの気持ちは俺から伝えとく。皐月さ、ちょっと弱いとこあるんだ。本人を目の前にしたら頭いっぱいになっちゃうから。だからもう関わらないでいてあげてくれる?それが一番、みのりちゃんを許せるきっかけにもなるからさ。ね?」

「………はい。すみませんでした」

「あー、それと」

俯いていたみのりちゃんが顔をあげて四季くんを見た。

四季くんはみのりちゃんに近づいて、声をひそめた。

私の心臓がまたドクンって鳴った。
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