四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!
「適当にファミレスとかでいいんじゃん?なんでもあるし」

「うん。それでいいよー」

ソファから立ち上がって、リビングから出る。

こうやって見ると広い玄関だな。
誰かが靴を履くのを待っていなくても、みんなでできるんだもん。

「母さーん!飯、食ってくるー」

二階のお部屋に居るらしい四季ママに、四季くんが大声で言った。
ちょっと遠くのほうから「はーい」って声が返ってきた。

「うぇー…あっつい」

皐月くんが空を見上げて、すぐに顔を俯けた。

道の先まで、日陰はどこにも無い。
だけどそんなことはどうでもいいって思えることを海斗さんがすぐに言ってくれた。

「突っ立ってないで早く乗れよ」

四季くんのおうちのガレージ。
車が三台停まっている。
そのうちの一台が、見覚えのある海斗さんの車だった。

そうだ。
海斗さんは車で来てるから、ファミレスまで歩く必要がない。
本当に助かった。
命の救世主!

「海斗、さっすがー」

「かいちゃんがいなかったら、ぼく死んでたかも…」

車に乗り込んで、海斗さんはすぐにエアコンをつけてくれた。

助手席に皐月くん、
後部座席に私と四季くんが座った。

「車ってエアコンつけてもしばらくモワッとしてるよね」

「皐月、ぐずるなよ」

海斗さんが言いながら、ハンドルに右手を添えたまま、
スッと皐月くんに体を寄せた。

傾けられた首。

後部座席から、その動きがスローモーションみたいに見えた。

「………え?」

「海斗ー、早く車だしてよ。お腹すいた。ね、シュリ?」

「いや…だから、え…?」

「シュリ?どうした?」

「どうしたって…いやいやいや、なんで?」

「なに、シュリちゃん。おかしくなっちゃった?」
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