嘘がつけないキミと 素直になれないオレ
「たっくん、大沢たちとどこ行ってきたの?」


「カラオケからのゲーセン」


「楽しかった?」


「うん
通常どおりだけどね」


家に帰ったら
卒業祝の料理がテーブルにならんでた


「ふたりとも無事に卒業できてよかったわ」


オレの家族と提家で
お祝いやらイベント行事はよく一緒に食事する


「義務教育なんだから誰でも卒業できるだろ」


「そんなこと言って…
病気もなくここまでこれて…」

「たっくんも萌々(もも)も
大きくなったねー」

「ホントもぉ高校生なんて信じられないね」

「今度はちゃんと学校行かないと
卒業できないんだからな!」

「拓夢も萌々ちゃんも
青春を謳歌しなさい」


青春て、なんだ?

オレは萌々がいなきゃ楽しくない

あー、もっと勉強しとけば…


「たっくん、コレ食べる?」


「食べていいよ」


「たっくんお腹空いてないの?」


「うん、ちょっと食べてきた」


「このサラダ私が作ったの
盛り付けただけだけどね」


「へー…」


「たっくんトマト好きだよね」


「うん、好きだけど…」


たっくん…

萌々はオレのこと
家ではたっくんて呼ぶ

小さい頃からずっと


オレは…


「ちらし寿司美味しい?」


「うん、すっごく美味しい」


うん、すごく美味しそうに食べてた

萌々はわかりやすい

そして、かわいい


キュュュ!


「オレのもやるわ」


「えー、いいの?
でも太っちゃうな…」


「デブ」


「たっくんひどい!
どーせデブだけど…」


オレは家では
萌々を呼んでない

いつからか
恥ずかしくて呼べなくなった


提 萌々

中学生になってから
学校で呼ぶなら提って呼ぶようになってた

その前は萌々って呼んでたのに

小さい時は萌々ちゃんて言えなくて
ぽぽちゃんて呼んでた


オレは学校でもたっくんて呼ばれるのが
恥ずかしくて萌々に言ったことがある

萌々はそれから学校では
拓夢って呼ぶようになった

みんなと同じ呼び方になった


なんかすごく距離ができた気がした


「食え、食え、ブタ」


「拓夢、そーゆーことばっかり言ってるから
彼女できないのよ!」

「モテないぞ」

「私達の時も
好きな子にイジワルする男子いたよね」

「拓夢、素直じゃないな」


親達に冷やかされる


「は?
誰も好きじゃねーし…」


萌々を見たら
美味しそうにオレがあげたやつ食べてた


キュュュ!


可愛いすぎる


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