嘘がつけないキミと 素直になれないオレ

高校のクラス発表を見に行った帰り
駅で萌々を見かけた

萌々もクラス発表だったんか

中学までずっと一緒だったのに
ここで分かれた道

オレがバカだからだけど

こーやって人生は少しずつズレていくんだな

けど駅で会ったら一緒に帰ればいいし…

家は相変わらず隣だし…


萌々を追い掛けて肩をたたいた


「ワァ！ビックリしたー
たっくん！」


キュュュ！

マジビビってる

可愛い


一緒に帰ろうとも言わず
同じ方向に歩く

幼馴染の特権


あー、今日ってそ～言えば…


「大沢んちペット飼ったから
今度見に行くんだ」


唐突な話題


「えー！なに？何飼ったの？
私も見に行きたい！」


「オオカミ」


「オオカミ！？」


「うん」


「オオカミって飼えるの？」


「シー！
ホントは飼えないから絶対誰にも言うなよ」


「えー
今度学校の帰りに見せてもらいに行こうかな」


「そ、それはダメ」


「なんで？たっくんばっかりズルいじゃん」


「オレは友達だし…」


「私だって同じ高校だし
今日クラス発表でクラス同じだった」


「え、マジ？」


高校同じでクラス同じとか
大沢のヤツ…

羨ましすぎる


「私、大沢と仲良くなれるかな…」


「や、なれないだろ
や、なるな、ならない方がいい」


「なんで？
私もオオカミ見たいし…」


「アイツは、本当にやめた方がいい！」


「だから、なんで？
たっくんと大沢は仲いいじゃん」


なんで…


性格いいし
面白いし
頭いいし
悪いとこない


なんで…って…

ただ…

萌々が大沢と仲良くなるのが…

イヤだ


こんなことなら
大沢がオオカミ飼ってるなんて
嘘つかなきゃよかった

本日4月1日エイプリルフール


「なんで…って
大沢、彼女できたんだけど
その彼女がヤクザらしい」


コレも嘘

彼女なんてできてない

嘘に嘘を重ねる


「彼女できたの？ヤクザ？
嘘〜」


嘘


「オレもちょっと信じらんねんだけど…」


「新学期聞いてみよ」


「や！それは…やめた方がいい」


「なんで？」


もぉ無理


「…嘘だから」


「え？」


「大沢に彼女できたのも
大沢がオオカミ飼ってるのも
ヤクザなのも
全部嘘だから…」


「え…
たっくん、なんでそんな嘘つくの？」


「今日、エイプリルフールじゃん」


「エイプリルフール…」


「けど、こんな嘘、信じるとは思わなかった」


萌々って
素直ですぐ人のこと信じる

アホだな


「なんだ、嘘か…」


キュュュ！


そこが可愛いけど


「信じすぎ
ウケるわ」


「たっくん、嫌い！」


え…

タックンキライ


は？


や、嘘ついたけど
エイプリルフールだし

真に受けて騙された萌々が悪いだろ


走ってく萌々の姿が見えなくなった


こーやってオレと萌々は
どんどん離れていくのかな…


見えなくなる前に
誰かのものになる前に
告るべきか…


や、無理

オレの性格上絶対無理