四人の旦那様〜結婚してください〜
腕を振り解きたいけど、モカちゃんを抱っこしているからそんなことできない。知らない人に触れられているという恐怖がジワジワと心を侵食していく。

（怖い……。誰か助けて！）

強く目を閉じたその時だった。男性が「何だよお前！」と大きな声で言う。振り返れば、無表情の健吾さんが男性の肩に手を置いていた。

「彼女は私の連れです。手を離していただけますか？公然わいせつ罪で逮捕しましょうか？」

「チッ！連れって男かよ！」

男性は舌打ちをしてカフェを出て行った。私がその後ろ姿を呆然と見ていると、「大丈夫ですか？怪我はしていませんか？」と健吾さんに心配される。慌てて頭を下げた。

「健吾さん、助けていただいてありがとうございました。あんな風に声をかけられるの初めてだったので、健吾さんが戻ってきてくれてホッとしました」

「……初めてだったんですか？」

私は首を縦に振る。私は特別美人でも可愛いわけでもない。だから、あの男性が声をかけてきたことに今でもびっくりしている。ブス専ってやつだったのかな。
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