四人の旦那様〜結婚してください〜
「ちょっとお手洗いに行ってくるね」

料理を頼んだ後、私はそう言って席を立つ。お化粧が崩れていないか心配だから、トイレに行くついでに直しておこう。

お化粧を直した後、私は結翔くんが待つ席まで歩いていた。レストランはお昼時ということもあって賑わっていて、大きな笑い声が後ろから近付いてくる。

ドンッと衝撃が走った。誰かにぶつかられたと気が付いた刹那、冷たいものが肩の辺りにかかる。上に顔を向ければ、そこにはジュースの入ったグラスを持った男性二人がいた。前を向いて歩いておらず、私にぶつかったのだろう。

「あっ、すみません!」

私にぶつかった人が慌てた様子で謝る。私も「こちらこそすみません」と謝った。お気に入りの白のブラウスの肩の辺りは赤い色に染まっている。どうしよう……。

「うわ、服すごいことになってるじゃん」

「ええ……。どうしよう。クリーニングしてくれるとこ、こんなところにあったっけ?」

「知らねぇよ。とりあえずクリーニング代出して、売店で代わりの服を買うしか……」
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