四人の旦那様〜結婚してください〜
結翔くんの圧に男性は目を泳がせ、しどろもどろな説明をする。それを聞いた結翔くんは「そう」と低い声で言った後、私を掴んでいる男性の手を強く掴んだ。

「服は俺が買うんで。この手、離してもらっていいですか?」

「えっ?でも……」

男性が何かを言いかけていたものの、結翔くんは手を振り払って私を連れて歩き出す。振り返って男性の方を見れば、男性はどこか落ち込んだ様子だった。

「あれ、絶対胡桃のこと狙ってたよ。あわよくばこのまま胡桃をものにしたいっていうのが見えた」

苛立った様子で結翔くんは言う。私は「助けてくれてありがとう」とまずはお礼を言い、すぐに結翔くんの言葉を否定した。

「結翔くんが心配するようなことは何もないと思うよ?私、モテたことないんだよ。彼氏いない歴=年齢だし」

「それ、今仮にも旦那という立場の人間の前で言う?」

結翔くんの顔がいつの間にか目の前にあった。私の背中はレストランの壁についていて、私の顔の横には結翔くんの腕がある。えっ?これって壁ドン?
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