四人の旦那様〜結婚してください〜

ジンジンと痛みを発する膝に目を向けると、派手に擦りむいてしまっていた。血がダラダラと流れ、赤い色がアスファルトを汚していく。

「おい、こっち見ろよ！クソ女！」

怒鳴り付けられ、肩を震わせながら私は顔を上げる。そこにいたのは同じクラスの中村（なかむら）くんだった。彼とは挨拶を交わす程度で、親しく話す仲ではない。

「中村くん？どうしてこんなことを……」

「お前、四股してるんだってな！女子に話してたらじゃねぇか。イケメン四人と暮らしてるって。清楚そうでいいかもって思ってたけど、そんなクソ女だったなんてな！」

普段それほど関わりがない人に怒鳴り付けられ、心が恐怖に支配されていく。目の前がぼやけ、体の震えが大きくなっていく。怖い。怖いよ……。

「助けて」

心の中で呟いたのか、口に出していたのか、怖くてわからなかった。しかし数秒後、中村くんの腕が誰かによって捻り上げられる。捻り上げたのは健吾さんだった。

「イテテテテ！何すんだよ！」

「胡桃さんは怪我をしています。これは傷害罪です。よってあなたを逮捕します」