四人の旦那様〜結婚してください〜

「女の子に傷をつけるなんて、あいつ最低な奴だね。殴り付けてやりたかったよ」

凪さんが悔しげに言い、私の手を取る。割れ物に触れるかのような強さだ。人の体温がとても心地いい。その時、健吾さんに訊ねられた。

「胡桃さんがあんな目に遭うことになった原因は、私たちのせいですか？」

心臓が締め付けられるような感覚がした。原因はそうだ。多重婚のことを中村くんは言っていた。でもーーー。

（それを理由になんて、言えない……）

私が素直に話せば、四人は傷付いてしまうことが目に見えてわかる。傷付いた顔を見たくない。

「ねぇ、教えて？」

結翔くんにそう言われたけど、私は笑って誤魔化した。



翌朝、ベッドの布団にくるまっていた私は目覚まし時計の音で目を覚ました。目覚ましを止め、目を開けた瞬間に「えっ？」と呟く。私の手には大きなダイヤモンドの指輪が嵌められていた。

「これって……」

「俺のデザインした指輪。気に入ってくれた？」