甘い鎖にとらわれて。


くす、と微笑む姿は、バレていたのだと察する。



なんで私、こんなに深月くんと関わる機会多いの……?



「……あれ、柚原さんって一人暮らし?」


「…あ、うんまあね」


「へえ、そうなんだ。そういえばここの大家さん若かったね、手続きしたときびっくりした」


「でしょ?私たちとそんなに歳変わらないの」



……なにも、聞いて来ないんだな。


普通だったら「なんで一人暮らしなの?」とか、聞かれてもおかしくはないはず。


気遣いか、それとも単に興味がないだけか。多分後者かな。


それでも、踏み込んで来ないことに安心感を覚えた。



ちなみに、ここの大家さんは私たちと2歳差の、高校三年生。


彼女の祖母から受け継いだそうで、何かと苦労がたえないんだとか。


それに、今は受験で大忙し。何か手伝えたらなと思うけど。


とにかく、私のお姉さんみたいな存在で、すごく良くしてもらってるんだ。


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