甘い鎖にとらわれて。
「実帆ちゃん何ぶっ飛んだこと言ってるの……。別にただのお隣さんだし、それだけでしょ?」
『いやいや、少女漫画の展開なら何かあるの』
「私は少女漫画の中には住んでないからね」
『もうちょっと夢見ようよ莉乃』
だって、よろしくとは言ったけど、何か関わりがあるわけではない。
それに元々、そこまで話したことがないし……。
私の中ではお隣さんが同級生だった、という感じ。
特に何も変化はない。初めはそりゃ驚いたけど。
もし私が実帆ちゃんなら卒倒してたかもしれないけれど、私は深月くんを推してないからなあ。
『でもいいなあ〜!毎日推しの顔を近くで拝めるチャンスがあるってことでしょ?』
「うーん、隣人だからってそんなことは起こらないと思うんだけど……」
『莉乃私と家交換しない?』
「ここ家賃安くて助かってるので、遠慮します。交換したい気持ちは山々なんだけどね」
『あははっ、さすが莉乃』