甘い鎖にとらわれて。
そこでハッと、あることに気づく。
「まって実帆ちゃん、大変」
『え、なになに深月くんが訪ねて来たとか?』
「そんなのあるわけないでしょ……。ていうか深月くんはそんなことしないと思うよ?だって王子様なんでしょ?」
『……まあ、そうね』
なぜか少女漫画展開になることを望んでいる実帆ちゃん。意外と乙女なのだ。
実帆ちゃんの部屋に行ったとき、漫画がたくさん置いてあったのを思い出す。
「っじゃなくて、私ピンチかもしれないの……!」
『え……どうしたの?』
「学校には"深月王子親衛隊"があるでしょう?私、隣人なのバレたらファンの人たちに睨まれるよ……っ!」
『……それたぶん、睨まれるだけじゃ済まされないやつね』
「不可抗力なのにーー…」
どうしよう、隣人になったことよりもそっちの方が大事件だ。