甘い鎖にとらわれて。
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ザッザッと前方で、長い足がコンクリートを、踏み込む音。
サササッと私の足元から忍者のように移動する音。
くるっと振り返った彼は、訝しげな表情で私を見つめた。
「……なんでそんなに離れてるの?」
「少しでも周りを安心させるために」
そう、王子様と一緒に登校していることがバレないように、私は少し後ろを歩いていた。
「何言ってるの?俺ここからだと柚原さんが後ろにいるから、どっちに行ったらいいか分かんないんだよね」
「次そこ左に曲がって、」
「ーーじゃなくて、こうでしょ」
「え、わ……っ!」
ぐっと手を引かれて、いつの間にか彼の隣に並んでいた。
いきなりのことに驚くと同時、男子に触れられるなんて初めてで、頬がじわりと熱くなる。