甘い鎖にとらわれて。




行き道でかなりの人に目撃されてしまったみたいで、私と彼をチラチラと物珍しそうな、何か言いたげな視線がぐざぐさとささる。



私はただの案内人……。私は案内人……。



断じてあなたたちが思っているようなものではないの!と叫びたくなる気持ちを必死で抑える。そんなことをしてしまったら余計に怪しく見えるから。



恨めしげな視線を深月へと投げるけど、背中を向けているため平然と教科書をそろえている。



……くそう、帰ったらインターホン連続で鳴らそうか。



だけど周りを意識しているのは私だけだったら嫌だな、恥ずかしいもん。



こうなったら開き直ろう。過ぎたことは仕方がない。



隣人であることがバレなければそれでいいのだから。




それに、明日からは別々で登校するから……今日が最初で最後だもん。




< 25 / 66 >

この作品をシェア

pagetop