甘い鎖にとらわれて。
そんな彼がなんと呼ばれているか。
ーーー王子様
その二つ名は、どこからともなく言われ始めて。
ひそかに(たぶん深月くんも知ってると思う)そう言われている。
「……おーじさま、かあ…」
たしかに、輝いている彼にぴったり。
いつか神様にでも崇められるんじゃないかな。
「ーーなになに、ついに莉乃も深月くんに興味出た?」
「っち、ちがうよ実帆ちゃん……っ!ていうか声おっきい…!」
「ええ~残念。莉乃と私の至上の推し様について語り合おうと思ったのに〜」
肩をすくめて私を残念そうに見る彼女は、私の友達の笹川 実帆(ささかわ みほ)ちゃん。
高校で出会って、あっという間に意気投合。今では私の親友。
そんな実帆ちゃんは、会話のとおり深月くんを推しているらしく。
じつは陰でひっそりと作られている会、その名も"深月王子親衛隊"に入会しているのだ。