甘い鎖にとらわれて。
たしか、二人とも学級委員だったから面識はあるんだろう。
教室の扉は開いていて。
ギリギリ彼らからは見えない位置に立つ。
鞄を取りにきただけなんだけど……もしやこれは。
「あのね透夜くん、私がなに言うかたぶん分かってる……よね」
「……」
「……私、ずっと透夜くんのこと好きだったの」
……やっぱり、だ。
予想が当たって、嬉しさ半分、不安が半分。
……これはたぶん、気づかれたらめちゃくちゃ気まずいやつ。
なにこの少女漫画展開。
昨日からツイてるのかツイていないのか分からない。
忘れ物をしただけなのに……みたいな?
残念ながら私は夢見る乙女じゃないから、ここから発展する恋には興味ない。
二人とも美男美女でお似合いだから、きっと付き合うんだろう。
そう思って告白を受けると思った彼を見ると。
「ーー…っ」
昨日の夜と同じ表情。
冷たい氷のような瞳が彼女を見つめていた。