甘い鎖にとらわれて。
だけどそれはすぐに、いつもの色味へと戻って。
私はなぜか、このあとの出来事を予想できた。
「ごめんね、俺今は誰とも付き合う気ないんだ」
「そ、うなんだ……っごめんね急に、」
「気持ちを伝えてくれてありがとう。橋上さん」
その後、私のいる方とは逆の扉から早歩きで出ていってしまった彼女。
本当にあっという間の出来事で、恋とはあっけないものだと見せつけられたみたい。
見つからなかったことにほっと胸をなで下ろしたのも束の間、新たな問題発生。
……教室に入りたい。
けど、そこにはまだ机の横に立ったままの深月くんの姿。
どうするべき?空が真っ暗になる前には学校を出たい……けどまだ去る気配はなさそう。
いっそ知らないふりをして取りに行く?
そう思ったけど、どう声をかけたらいいか分からない。
ここは待つしかない、かな。
覚悟して彼の動向をうかがっているとーーふ、と薄っすら笑みを浮かべていた。