甘い鎖にとらわれて。


だけどそれはすぐに、いつもの色味へと戻って。


私はなぜか、このあとの出来事を予想できた。




「ごめんね、俺今は誰とも付き合う気ないんだ」


「そ、うなんだ……っごめんね急に、」


「気持ちを伝えてくれてありがとう。橋上さん」



その後、私のいる方とは逆の扉から早歩きで出ていってしまった彼女。


本当にあっという間の出来事で、恋とはあっけないものだと見せつけられたみたい。


見つからなかったことにほっと胸をなで下ろしたのも束の間、新たな問題発生。



……教室に入りたい。



けど、そこにはまだ机の横に立ったままの深月くんの姿。



どうするべき?空が真っ暗になる前には学校を出たい……けどまだ去る気配はなさそう。


いっそ知らないふりをして取りに行く?


そう思ったけど、どう声をかけたらいいか分からない。

ここは待つしかない、かな。



覚悟して彼の動向をうかがっているとーーふ、と薄っすら笑みを浮かべていた。



< 31 / 66 >

この作品をシェア

pagetop