甘い鎖にとらわれて。
ピタリと足がくっついたみたく動かなくなった。
どくどくと鼓動が速くなるのを全身で感じる。
ゆっくりと顔をあげると、そこにはいつもの"王子様"の彼。
なんとしてもやり過ごそう、と見えないように拳をつくってぎゅっと握った。
「……なんのこと?」
「はは、とぼけても無駄だよ?ずっと視界の端に映ってたからね」
「ーーっ!?」
うそ…絶対に見えないって思っていたのに。
バッとさっきまで私のいたところを見ると、ガラスが反射してよく見えなかった。
そこでハッとする。
……っやられた。
「気づくのが遅かったね。自分から証言してくれて嬉しいよ」
「……っ」
苦虫を噛み潰したような顔になっている自覚はある。それがまさに、私がさっきの現場を目撃していたことを意味することも。
悔しげに見つめてもひらりと躱され、あっという間に目と鼻の先。
「バレちゃったから仕方ないーー…絶対に言うなよ?」