甘い鎖にとらわれて。



「ただ、俺が"フォーク"だってことは柚原さんにバレちゃったわけだし……口止めくらいはしないとね?」


「くちどめ…」


「そー…柚原さんには本性も知られたしさあ」



……本性、って…学校でのこと、だよね。



オウム返しをすると、くす、と微笑まれて逆にその笑顔が恐ろしく感じる。



私、五体満足で帰れる、かな。



さっきまでの安心感はどこへやら。不安が一気に襲ってくる。


じっと彼を見つめたまま、次の言葉を待った。



「ーーーそれじゃ、"契約"を交わそう」


「……けい、やく?」



もっと脅されると思ったものだから、予想とは違う言葉に安心と不安が全身を覆う。


何の契約なのか、と聞き返すと彼は一度視線を下へとさげて、危険な瞳で私を捉えた。



「…そう、…それがある限り、俺は君を食べないって誓うよ」



つまり交わさなければ、私の最悪の予想が現実になるということ。



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