甘い鎖にとらわれて。
「俺はフォークだし、感覚だけど、だいたい誰がフォークなのか見分けはつくよ」
……話が良すぎる。
どこから狙われるか分からない私を守ってくれるというのはメリットしかない。
受けていいのか、受けないべきか。
選択肢は本当はひとつしかない。
眉をしかめていると、「ただし」と綺麗な笑顔を向けられた。
「柚原さんには、俺の偽の彼女になってもらおうかな」
「……へ…」
守る、の次は"彼女"。
何を言い出すんだこの人は、という視線を思い切りぶつける。
「柚原さん知ってるでしょ?俺が学校では"王子様(笑)"っていう仮面被ってること」
「それは……うん」
認めるしかない、なにせ、目撃してしまったのだから。
笑、という文字が後ろに隠れている時点で、彼は腹黒王子だと私は頭にインプット。
「正直言ってめんどくさいんだよねー。告白されるのもだるい」
すう、と瞳の温度が下がる。口調も砕けていった。