甘い鎖にとらわれて。
「莉乃はあの顔みて何も思わないの!?」
「え……?うーん、整ってるなあとは思うけど……正直よく分かんないかな」
「うっ、そっかあ……。まあそれに、莉乃男子苦手だもんね、仕方ないか」
いやでもあの美貌を前に拝まないのは勿体ない、という彼女を微笑ましく見守る。
そう、私は男子が苦手。加えて人見知りでもある。
だから遠くから眺めるのがちょうど良い。
そう考えて、じっと親友の推しを観察してみる。
……確かに、童話から出てきた王子様そのもの、みたい。
だけど、なんだろう。
ときどき、彼の笑顔を見てると違和感を覚えるのは。
そう見えるのは、気のせい?
ただ私が苦手意識を持ってるだけかな、と勝手に答え合わせをしておいて、少しの疑問はその場で終わらせた。
ーーそのとき、じっと見つめていたせいか、パチリと深月くんと目があって。
「……っ」