甘い鎖にとらわれて。




ケーキはフォーク程ではないものの、世間から軽蔑されている。


つめたい視線でなければ、あとは同情。


それほど危険で、……脆い存在だから。



「……っ」



実帆ちゃんは、とっても大切な親友。なんでも話せていた存在。


秘密ができるのは、こんなにも心がくるしくて、痛い。


……そして、今朝の深月くんからはもうひとつ、忠告があった。



『約束を破るみたいだけど絶対に守りきれる保証はない。……それにーー』


ーー…私の身近にいるひとが、私という"美味しいごちそう"を狙っている可能性もある。



この言葉をふかく読み取るならば、"周りの人たちに"フォーク"が混ざっているかもしれない"ということ。


つまり、私自身がケーキだと認識した時点で、他人が信用出来なくなってしまったこと。



……そんなの、くるしい。



常に気を張っているのは辛いし、……心の裏側で"食べられるかも"と怯えて壁を作るのは胸が痛い。




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