甘い鎖にとらわれて。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー



ひっそりと過ごしていた食堂での昼休みに、今日はイレギュラーが発生した。



「あ、あの子でしょ。深月くんの彼女」

「へえ、思ったより普通ー」

「なんでいきなり彼女作ったんだろー?」



ちくちく、ぐさぐさ。


それとなーくチラ見しているつもりなんだろうけど、嫉妬や軽蔑を含んだものが鋭く刺さってくる。


しかもぜんぶ女の子のもので、中には先輩や、クラスで美人やら美少女やらで有名な人たちばっかり。


深月 透夜のモテ度、とんでもない。
今日で再確認させられた。


目をうろうろさせるけど、もうどこを向いたら安全なのか分からなくなるほど。



うう……居た堪れない…。


「私みたいなちんちくりんが偽りでも彼女でごめんなさい」って、今すぐここで土下座したい気分。



「あはは、莉乃ったらモテモテじゃーん」



半分涙目になりそうなところで、ゆるく間延びした声が正面から降ってくる。



< 62 / 66 >

この作品をシェア

pagetop