冷徹社長の溺愛~その人は好きになってはいけない相手でした~
ガラス張りだが、目の前はライトアップされた坪庭でリラックスできる。
ふたりでお風呂に浸かると、ふーと息をはいた。
怪我をした擦り傷が少しピリピリとする。
打ったところは青あざになっているが、そう時間がかからずに治りそうだった。

「気持ちいいねえ」

ジャグジーの泡が体を温める。
シャンプーもコンディショナーもボディーソープも、すべてが有名ブランドのものだ。

ハーブの香りで癒される。


「りんちゃ、あしたもいっしょはいる?」

美菜ちゃんが膝の上に乗ってくると、フワフワの肌が気持ち良くてきゅっと抱きしめた。

「うーん」

美菜ちゃんのお世話なら喜んで毎日やりたいが、職場に相談してみないとなんとも言えない。

この家のことはハウスキーパーを毎週入れているらしく、わたしが任されるのは美菜ちゃんと食事と、一部の家の仕事となる。

最初はわたしに出来るのかと不安があったが、やりがいのありそうな邸宅に、早く仕事がしたくなってウズウズとした。

「そうだね。明日はちょっと難しいかもしれないんだけど、なるべ早く美菜ちゃんのお家のお仕事ができるようにするね」

「やくしょくよー?」

出された小指は本当に小さくて、愛おしくてきゅんきゅんとする。

「約束ね」

なんだか数日前から怒濤の展開だけど、幸運が舞い込んで来たようで、わたしの心は希望とやる気に満ちていた。
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