冷徹社長の溺愛~その人は好きになってはいけない相手でした~
「ま、待って、いいの? ありがたいけど、どうやっていくつもり?」

雅さんが焦る。

「バスと電車で行けますので」

「怜士! 運転手貸してよ~」

雅さんが嘆くと、怜士さんが観念した。

「わかった! 午前中は書類整理だったから送らせるよ。それでいいね? 美菜、動物園はお弁当まで。次またゆっくりお出かけするから、今日はそれで我慢できるだろ? ママも辛いのに、一日中ひとりにさせておく気か?」

「まましゃみし、だめね」

「そうだ。わかるな」

「あい!」

美菜ちゃんが元気よく手を上げて返事をすると、怜士さんは「いいこだ」と頭を撫でた。

(うわあ)

仕方が無いな、が入り混じった苦笑に心臓を撃ち抜かれる。

怜士さんと、美菜ちゃんと三人で動物園……。

思ってもみなかった突然のお出かけ。別にデートでもなんでも無いのに、急に舞いあがって緊張してきてしまった。
< 19 / 85 >

この作品をシェア

pagetop