冷徹社長の溺愛~その人は好きになってはいけない相手でした~
「え、そうなんですか?」

「ああ、すごく感動してる。そうか、切り込みを入れて焼くから、ここが熱で丸まってタコの足に……」

真面目に分析している。世界の珍味を食べつくしていそうなのに、タコウインナーに感動するなんて。

「ふふ」

「また笑ったな」

じとりと睨まれる。

「怜士さんだって、わたしをからかって笑うじゃないですか」

「俺はいいの」

なんて横暴な。

「これ、また作ってくれ」

生真面目にいわれて、今度こそ噴き出した。

「こら、凛!」

「あはは、だってすごく不思議な組み合わせなんですもの」

「れいちゃ、たこさんはじめてなの? みーちゃね、にかいめなんだよ」

美菜ちゃんが誇らし気に自慢する。

「そうだね。先週もタコさんウインナーとおにぎり持って海辺で遊んだよね」

「ねー」

「うらやましいな。美菜、こんどは俺も散歩に誘ってくれよな」

「れいちゃはおしごとでしょー。おちごとね、たっくさんがんばうんだよ」

おませな口調で返されて、怜士さんは面食らっていた。
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