冷徹社長の溺愛~その人は好きになってはいけない相手でした~
彼女のやわらかで控え目な雰囲気と、仕事柄か気が利くところを気に入っている。
それに美菜と楽しそうに過ごしているところを見ると、温かい家庭の雰囲気を味わえて心地いいのだ。

いつか、自分をこんな家庭を持ちたいとうっすらと思う。ああいった雰囲気が、将来の理想なのかもしれない。

凛は愛らしいが、どうなのだろう。好きなのかと聞かれるとまだわからない。
しかし、笑顔を思い出したら胸がじんわりと癒されるのだ。

「美菜が送って来た写真ならあるかな」

写真フォルダをスクロールして探すと、最初に美菜と凛の大笑いしている写真が出てきた。

写真は加工されていて犬の耳と鼻がついている。美菜の遊びに凛が付きあって、雅が送ってきたものだ。美菜は凛が好きすぎて、泊まらない日は泣くから大変だ。

「これじゃあわからないよ。もっと違うの」

「注文が多いな。いたって普通の子だよ」

もう少しスクロールすると、美菜が撮った写真が出てきた。
動物園のお昼を食べた時のだ。美菜が操作したから多少ぶれているが、凛と俺が写っている。

凛は大きな口をあけて笑っていて、見れば見るほどその笑顔に引き込まれた。

「あ、可愛い。あーわかるなぁ。恋人っていうかお嫁さんになってほしいタイプ。ふーん、そうか。こういう子がタイプなら、迫力美人が迫ってきてもいつも微動だにしないのがわかるよ。
っていうかさ、藤堂もうぜったい好きじゃん。何してたのこれ。ピクニック?」

「うるさいぞ」

スマートフォンの画面を覗く朝倉の頭を押す。

「ここまで上り詰めると、財産狙いみたいな女も増えるもんね。なんかそういう下心がなさそうでいいよね」

写真一枚で分析をするおまえは何様だと言いたくなる。
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