冷徹社長の溺愛~その人は好きになってはいけない相手でした~
お父さんの今日の変な感じは、寂しかったのかもと、今さらながらに思った。
パッキングを終えるとキッチンへ急いだ。塩と海苔と具材を用意して米を握る。
ふたりはおにぎりを持つと、大慌てで空港へ向かった。
誰も居なくなった豪邸はやけに静まりかえってて、急に寂しさを感じた。
ひとりになると、お父さんとあの豪華客船のことを考えてしまう。
美菜ちゃんが居ないうちにしか出来ない、高いところなどの細かい掃除をやっておこう。
まず、部屋の片付けが終わらせてからリストの作成に取りかかろうと決め動き出すと、怜士さんが帰宅した。
「おかえりなさい。今日はもう終わられたんですか?」
急いで玄関まで出迎えると、鞄と上着を受け取った。
日曜日なのに朝から仕事だと出掛けていたが、終わったのだろうか。
「ああ、今日は式典の出席だけだったから」
怜士さんはネクタイを緩める。
「式典ですか?」
「ああ、今日ベリが丘港に客船が初奇港しているだろ。お祝いとお披露目って感じだな」
怜士さんは招待されていたのかな。
やっぱり、ウィステリアマリンと、会社同士の繋がりくらいあるようだ。
「そうだったんですね。わたし式典があるの知らなかったので、人が多くてびっくりしました」
「え、あんなに宣伝していたのに?」
怜士さんが目を丸くした。
「ええと、わたしテレビとかインターネットをあまり見ないので……」
「そうか……そういうこともあり得るのか……」
怜士さんは何かを考えている素振りをして、難しい顔をした。
「それで、部屋が荒れているようだけど、雅と美菜のふたりはどうしたんだ?」
怜士さんは床に散らばった服や雑貨を見回す。
「えっ、アメリカに行かれましたけど……」
「はあ? アメリカ? なんで急に」
「あれ? 雅さん、怜士さんに連絡したっておっしゃってましたよ」
怜士さんは、はたと動きを止めて、すぐにポケットからスマートフォンを取り出した。
「ほんとだ、連絡が来てる。しばらく帰らないって書いてあるな。まったく、せめて一日置くとか、もう少し落ちついて計画を立てれば良いのに」
怜士さんはがっくりと項垂れた。
確かに、雅さんはいつもバタバタしている。思い立ったらすぐに行動するタイプのようだ。まあ、そこが彼女の良いところではあるけれど。
「おふたりが居ないと、静かすぎて落ちつかないですね」
この家は、こんなに広かっただろうか。
「いや、俺は騒がしくないほうがありがたいけど」
「ふふ、そんなこと言って。わたしはすごく寂しいです。ふたりだけになってしまいますが、お夕飯はいかがなさいますか?」
そう言えば、ふたりきりじゃないか。
今夜は一緒に食事をしてくれるだろうか。
パッキングを終えるとキッチンへ急いだ。塩と海苔と具材を用意して米を握る。
ふたりはおにぎりを持つと、大慌てで空港へ向かった。
誰も居なくなった豪邸はやけに静まりかえってて、急に寂しさを感じた。
ひとりになると、お父さんとあの豪華客船のことを考えてしまう。
美菜ちゃんが居ないうちにしか出来ない、高いところなどの細かい掃除をやっておこう。
まず、部屋の片付けが終わらせてからリストの作成に取りかかろうと決め動き出すと、怜士さんが帰宅した。
「おかえりなさい。今日はもう終わられたんですか?」
急いで玄関まで出迎えると、鞄と上着を受け取った。
日曜日なのに朝から仕事だと出掛けていたが、終わったのだろうか。
「ああ、今日は式典の出席だけだったから」
怜士さんはネクタイを緩める。
「式典ですか?」
「ああ、今日ベリが丘港に客船が初奇港しているだろ。お祝いとお披露目って感じだな」
怜士さんは招待されていたのかな。
やっぱり、ウィステリアマリンと、会社同士の繋がりくらいあるようだ。
「そうだったんですね。わたし式典があるの知らなかったので、人が多くてびっくりしました」
「え、あんなに宣伝していたのに?」
怜士さんが目を丸くした。
「ええと、わたしテレビとかインターネットをあまり見ないので……」
「そうか……そういうこともあり得るのか……」
怜士さんは何かを考えている素振りをして、難しい顔をした。
「それで、部屋が荒れているようだけど、雅と美菜のふたりはどうしたんだ?」
怜士さんは床に散らばった服や雑貨を見回す。
「えっ、アメリカに行かれましたけど……」
「はあ? アメリカ? なんで急に」
「あれ? 雅さん、怜士さんに連絡したっておっしゃってましたよ」
怜士さんは、はたと動きを止めて、すぐにポケットからスマートフォンを取り出した。
「ほんとだ、連絡が来てる。しばらく帰らないって書いてあるな。まったく、せめて一日置くとか、もう少し落ちついて計画を立てれば良いのに」
怜士さんはがっくりと項垂れた。
確かに、雅さんはいつもバタバタしている。思い立ったらすぐに行動するタイプのようだ。まあ、そこが彼女の良いところではあるけれど。
「おふたりが居ないと、静かすぎて落ちつかないですね」
この家は、こんなに広かっただろうか。
「いや、俺は騒がしくないほうがありがたいけど」
「ふふ、そんなこと言って。わたしはすごく寂しいです。ふたりだけになってしまいますが、お夕飯はいかがなさいますか?」
そう言えば、ふたりきりじゃないか。
今夜は一緒に食事をしてくれるだろうか。