冷徹社長の溺愛~その人は好きになってはいけない相手でした~
デッキへ出ると、プールサイドの椅子に荷物を置いて遊びにいく。
今日は快晴。暑すぎず過ごしやすくてプール日和だ。
空も海も真っ青で気持ちがいい。

さっそく、やってみようと話していた、サーフィン体験の場所に行く。
人工の波が出ていて、そこで波に乗る練習が出来る。

凛は係員に教わりながら、専用の板におそるおそる座った。
わぁとかきゃあとか、悲鳴をあげながらも楽しんでいる。

最初はヨタヨタしていたが、すぐに感を掴んだのか座った体制から膝立ちとなり、最後には立ち上がることが出来た。

「れ、怜士さんっ見て見て!」

嬉しそうな声がしたと思ったら、すぐにすてんと転び板から落ちて波に流されてしまった。
それが、ひっくり返ったハムスターみたいで何とも言えない笑いが込み上げた。


凛はけっこう豪快に転んだのに、ケタケタと笑いながら出てくる。

「どうだった?」

「すっごく面白かったです! もう少し立っていたかったですけど、難しいですね。悔しかった~」

凛はもう一度やりたがっていたが、遊ぶところは山ほどある。
また時間があったらやろうと言って、ほかのアトラクションへと向かった。

いくつかあるスライダーも全部制覇して、凛は大はしゃぎだった。

経済的な理由から、高校を卒業すると同時に働き詰めだったらしい。
休日に遊びにいくこともなかったと聞いているから、同じ年頃の人達が学校と自由を謳歌しているのが、どれほど羨ましかっただろう。

思い切り楽しませてやりたい。

最後に大人専用のプールへと向かった。十八歳以上じゃないと入れないエリアで、飲み物を持ち込めることになっている。

景色と、ゆったりとした時間を楽しむエリアだ。
プールの中からテーブルと椅子が出ていて、自由に寛ぐ事が出来る。

目の前のバーカウンターでカクテルを作って貰うと、乾杯をしてから飲んだ。
< 43 / 85 >

この作品をシェア

pagetop