冷徹社長の溺愛~その人は好きになってはいけない相手でした~
宅配かと思い玄関ドアを開けると、怜士さんが立っていた。
「怜、士さん……?!」
(うそ……)
思ってもいなかった来客に、立ち尽くしてしまう。
「……突然、押しかけてすまない。どうしても会って話がしたくて。事前に連絡したら、無理だと言われそうな気がしたから」
怜士さんは俯く。怒っているようにも、泣きそうにも見えた。
避けていたことはやっぱりバレていて、申し訳なくなった。
ああ、早く行動しなかったから。
会いたくて堪らなかった彼にやっと会えたのに、なんでこんなに悲しいんだろう。
呆然と立ち尽くしていると、戻るのが遅かったせいか、カズ君が様子を見に玄関まで来てくれた。
「凛、どうしたの? ……どちら様?」
「あっ、か、カズ君……その……」
どこから説明をすればいいのか。
慌てていると、カズ君を見た怜士さんの気配がぴりっとした。
「藤堂と申します。凛さんとお付き合いをさせてもらっています」
愛想もなく自己紹介をする。
「藤堂……?」
その名前に聞き覚えがあるようで、カズ君はわずかに眉を顰める。
「凛、そちらは?」
怜士さんは視線でカズ君を示した。
わたしは慌てて紹介をしようとしたが、答える前にカズ君が返事をした。
ぶっきらぼうで挑戦的で、初めて会った人にとる態度ではなかった。
「中森といいます。いとこで幼馴染ですよ」
「中森だって……?」
怜士さんが苦々しそうに呟く。
怜士さんもカズ君を知っているのかな?
「凛とふたりで話したいので、外していただけませんか」
怜士さんがカズ君に言うと、カズ君はムッとした。
「不躾化と思いますが、凛と付き合っているっていつからですか? 彼女からあなたの名前を聞いたことないんですけど。危ない奴かもしれないのに、はいどうぞって、ふたりきりにさせられないです」
「ちょっと、カズ君っ……」
ふたりとも、なんでこんなにけんか腰なんだろう。
「それが、君になんの関係が?」
怜士さんもいつもの冷静な彼じゃない。
「カズ君……わたし怜士さんとちょっとお話してくるから」
とりあえずこの場を収めたくて怜士さんと外に出ようとすると、カズ君が待って、と腕をつかんだ。
「あっ」
力が強くて、思わず顔を顰める。
「怜士って言った? “藤堂怜士”? なんかの冗談だろ」
カズ君は、はっと笑う。
「カズ君?」
「一目見た時からそうじゃないかって思ってはいたけれど……藤堂怜士……ウィステリアマリングループのCEOだよね。なんでそんな奴と付き合ってんの」
ビクッと体を揺らす。
カズ君は、怜士さんの立場と名前を知っていた。
そうだ。
ただ見なければいいと目を逸らし続けていたわたしとは違って、カズ君はあの出来事と向き合っていた。
たくさん調べて、起こったことを理解しようとしていた。
カズ君、は冷たい目でわたしを見た。
裏切り者、と言われている気分だ。
今までずっと、そんな目を向けられたことがなかったから、ひどく動揺した。
「怜、士さん……?!」
(うそ……)
思ってもいなかった来客に、立ち尽くしてしまう。
「……突然、押しかけてすまない。どうしても会って話がしたくて。事前に連絡したら、無理だと言われそうな気がしたから」
怜士さんは俯く。怒っているようにも、泣きそうにも見えた。
避けていたことはやっぱりバレていて、申し訳なくなった。
ああ、早く行動しなかったから。
会いたくて堪らなかった彼にやっと会えたのに、なんでこんなに悲しいんだろう。
呆然と立ち尽くしていると、戻るのが遅かったせいか、カズ君が様子を見に玄関まで来てくれた。
「凛、どうしたの? ……どちら様?」
「あっ、か、カズ君……その……」
どこから説明をすればいいのか。
慌てていると、カズ君を見た怜士さんの気配がぴりっとした。
「藤堂と申します。凛さんとお付き合いをさせてもらっています」
愛想もなく自己紹介をする。
「藤堂……?」
その名前に聞き覚えがあるようで、カズ君はわずかに眉を顰める。
「凛、そちらは?」
怜士さんは視線でカズ君を示した。
わたしは慌てて紹介をしようとしたが、答える前にカズ君が返事をした。
ぶっきらぼうで挑戦的で、初めて会った人にとる態度ではなかった。
「中森といいます。いとこで幼馴染ですよ」
「中森だって……?」
怜士さんが苦々しそうに呟く。
怜士さんもカズ君を知っているのかな?
「凛とふたりで話したいので、外していただけませんか」
怜士さんがカズ君に言うと、カズ君はムッとした。
「不躾化と思いますが、凛と付き合っているっていつからですか? 彼女からあなたの名前を聞いたことないんですけど。危ない奴かもしれないのに、はいどうぞって、ふたりきりにさせられないです」
「ちょっと、カズ君っ……」
ふたりとも、なんでこんなにけんか腰なんだろう。
「それが、君になんの関係が?」
怜士さんもいつもの冷静な彼じゃない。
「カズ君……わたし怜士さんとちょっとお話してくるから」
とりあえずこの場を収めたくて怜士さんと外に出ようとすると、カズ君が待って、と腕をつかんだ。
「あっ」
力が強くて、思わず顔を顰める。
「怜士って言った? “藤堂怜士”? なんかの冗談だろ」
カズ君は、はっと笑う。
「カズ君?」
「一目見た時からそうじゃないかって思ってはいたけれど……藤堂怜士……ウィステリアマリングループのCEOだよね。なんでそんな奴と付き合ってんの」
ビクッと体を揺らす。
カズ君は、怜士さんの立場と名前を知っていた。
そうだ。
ただ見なければいいと目を逸らし続けていたわたしとは違って、カズ君はあの出来事と向き合っていた。
たくさん調べて、起こったことを理解しようとしていた。
カズ君、は冷たい目でわたしを見た。
裏切り者、と言われている気分だ。
今までずっと、そんな目を向けられたことがなかったから、ひどく動揺した。