冷徹社長の溺愛~その人は好きになってはいけない相手でした~
2
月曜日。
定時で事務の仕事を追えると、会社の前に高級外車が横付けされた。
何事かと注目を浴びる中、左ハンドルの運転席から顔を出したのは、昨日連絡をとった藤堂雅(とうどうみやび)さん。
「凛ちゃん。時間ぴったりね!乗って乗って~」
昨夜の電話は、食事に誘いたいという内容だった。財布をとりに行く話しをしたら迎えにまで来てもらえることになって、ありがたく甘えさせて貰うことにした。
雅さんはとてもパワフルな人で、控えめだ遠慮など意味をなさなかった。
助手席に乗らせて貰うと、後ろの座席には先日助けた娘の美菜(みな)ちゃんが、ジュニアシートにお利口に座っていた。美菜ちゃんは今、三歳だそうだ。
お父さんは外国の方なのかな。
ハーフに見える。栗色のふわふわの髪に、大きな瞳。睫毛はくるんと上がっていて、白い肌にピンク色の唇でお人形のようだ。
革張りの車に乗るのは初めてで、ソワソワとした。
「りんちゃ!」
「美菜ちゃんこんにちは。今日はよろしくね」
「よおしくね!」
美菜ちゃんは、ピンクのウサギのぬいぐるみを大切そうに抱いていた。
きっと、これを忘れてしまったのね。
今日はなんと、ツインタワー内のレストランへ連れて行ってもらえることになっている。
一体どんな高級店なのか……
「あの、お食事に誘っていただけてうれしいんですけど、わたしの服装これで大丈夫ですか?」
持っている中で一番高いスーツを着てきたが、量販店のもので浮いてしまわないか心配だ。ドレスコードのない店だと願いたい。
すると、雅さんは噴き出した。
「やだあ、普通のファミレスよ! そんなにかしこまらなくて大丈夫」
「わたし、ツインタワーで食事なんて初めてなんです。誰もが憧れる場所なんですよ。もうそれだけで緊張しちゃって」
食事だけじゃなくて、迫力美人の雅さんにも、革張りの外車にも緊張する。
昨日初めてノースエリアに足を踏み入れてわかったが、あそこはお金持ちの中でも次元が違うのだ。
お父さんも、事業が軌道に乗っていたころはいつかは俺たち家族も住みたいだなんて言っていたけれど、夢のまた夢というレベルでかけ離れていた。
警察署に寄って財布を受け取ると、すぐにツインタワーへ向かった。
レストランは六十階で、エレベーターで昇だけでもドキドキが止まらなかった。
ガラス張りのエレベーターからは景色がよく見えた。空はまだうっすらと明るく、青と橙が混ざり雲はピンクに染まる。美菜ちゃんは見慣れているのか、「みーちゃのおうちあっちね」と方角を教えてくれた。
車の中で色々はなしているうちに、雅さんはとてもフランクだし、美菜ちゃんも人見知りをしないのか懐っこくてすぐに仲良くなれた。
「まってください“普通のファミレス”じゃないです」
入ったお店は、メニューをみなくともわかる。超、高級店だった。
定時で事務の仕事を追えると、会社の前に高級外車が横付けされた。
何事かと注目を浴びる中、左ハンドルの運転席から顔を出したのは、昨日連絡をとった藤堂雅(とうどうみやび)さん。
「凛ちゃん。時間ぴったりね!乗って乗って~」
昨夜の電話は、食事に誘いたいという内容だった。財布をとりに行く話しをしたら迎えにまで来てもらえることになって、ありがたく甘えさせて貰うことにした。
雅さんはとてもパワフルな人で、控えめだ遠慮など意味をなさなかった。
助手席に乗らせて貰うと、後ろの座席には先日助けた娘の美菜(みな)ちゃんが、ジュニアシートにお利口に座っていた。美菜ちゃんは今、三歳だそうだ。
お父さんは外国の方なのかな。
ハーフに見える。栗色のふわふわの髪に、大きな瞳。睫毛はくるんと上がっていて、白い肌にピンク色の唇でお人形のようだ。
革張りの車に乗るのは初めてで、ソワソワとした。
「りんちゃ!」
「美菜ちゃんこんにちは。今日はよろしくね」
「よおしくね!」
美菜ちゃんは、ピンクのウサギのぬいぐるみを大切そうに抱いていた。
きっと、これを忘れてしまったのね。
今日はなんと、ツインタワー内のレストランへ連れて行ってもらえることになっている。
一体どんな高級店なのか……
「あの、お食事に誘っていただけてうれしいんですけど、わたしの服装これで大丈夫ですか?」
持っている中で一番高いスーツを着てきたが、量販店のもので浮いてしまわないか心配だ。ドレスコードのない店だと願いたい。
すると、雅さんは噴き出した。
「やだあ、普通のファミレスよ! そんなにかしこまらなくて大丈夫」
「わたし、ツインタワーで食事なんて初めてなんです。誰もが憧れる場所なんですよ。もうそれだけで緊張しちゃって」
食事だけじゃなくて、迫力美人の雅さんにも、革張りの外車にも緊張する。
昨日初めてノースエリアに足を踏み入れてわかったが、あそこはお金持ちの中でも次元が違うのだ。
お父さんも、事業が軌道に乗っていたころはいつかは俺たち家族も住みたいだなんて言っていたけれど、夢のまた夢というレベルでかけ離れていた。
警察署に寄って財布を受け取ると、すぐにツインタワーへ向かった。
レストランは六十階で、エレベーターで昇だけでもドキドキが止まらなかった。
ガラス張りのエレベーターからは景色がよく見えた。空はまだうっすらと明るく、青と橙が混ざり雲はピンクに染まる。美菜ちゃんは見慣れているのか、「みーちゃのおうちあっちね」と方角を教えてくれた。
車の中で色々はなしているうちに、雅さんはとてもフランクだし、美菜ちゃんも人見知りをしないのか懐っこくてすぐに仲良くなれた。
「まってください“普通のファミレス”じゃないです」
入ったお店は、メニューをみなくともわかる。超、高級店だった。