冷徹社長の溺愛~その人は好きになってはいけない相手でした~
すべてが落ちついてから三カ月が経った。
わたしはというと、新しい生活は順調でとても楽しく過ごしている。
怜士さんは仕事で家を空けることが多いが、その間は雅さんと美菜ちゃんが居てくれるから寂しさは感じない。
「あかちゃん、いつうまれるの?」
美菜ちゃんがお腹に耳を当てながら聞いた。
「みーちゃんのおとーと?」
怜士さんが笑う。
「性別はまだわからないんだってさ。あと、美菜と赤ちゃんはいとこだよ」
「う~?」
美菜ちゃんにはまだ難しい話だ。弟か妹ができると思っていて、雅さんが説明に苦戦していた。
みんな家族だと思ってくれているらしい。
子供は順調に育って、つわりも良くなった。二月に入り、子供はもう六カ月目になろうとしている。
「夏になったらだよ」
「えー。はっくあいたいなぁ~」
予定日は七月だ。
七月といえば、このベリが丘で初めての仕事をもらい、美菜ちゃんに出会ったころだ。
そこから怜士さんに出会い、恋に落ちて結婚に妊娠……。
たった一年で、生活も世界もがらりと変わった。
「美菜ちゃんは、わたしの幸運の女神だったのかな」
美菜ちゃんの髪をなで、一年前を懐かしむ。
「みーちゃんめがみしってるよ。きれーなの。りんちゃも、こんどめがみになうんだよね!」
結婚式のことだ。
予定は四月。お腹は少し大きくなっているが、なんとかドレスで誤魔化せそうだ。
怜士さんの希望で、わたしたちの結婚式はなんと船上で行われることになった。
それもロイヤルグリシーズほどではないが、豪華客船だ。わざわざベリガ丘港へ入港させ、そこで式が行われる。
なんでも、怜士さんは、クルーズウエディングの新プロジェクトを考えているらしく、まずは自分で試してみたいと言い出したのだ。
詳しくは教えて貰っていないが、豪華客船で、富裕層をターゲットとしたプランにしたいとかなんとか。確かに、結婚式をしてそのままバカンスにいけたら確かに楽しいかもとは思う。
勿論、わたしたちに海と船はとても縁があるので理由はそれだけではないが、仕事と絡めてしまうあたりが意外とちゃっかりしている。
取引先の社長など、海外からの招待客もとんでもなく多くて覚えきれない。
当日のわたしは、きっと目がまわってしまうだろう。
「美菜もおめかしするドレス選んだか?」
怜士さんが聞くと、美菜ちゃんは嬉しそうに話してくれた。
「えっとね、みじゅいろのね、でっかいリボンついてるの!」
美菜ちゃんには結婚指輪を運ぶ、リングガールをお願いしている。
「性別はどっちなのかな……早く知りたい。待ち遠しいよ」
怜士さんがお腹に手を当てた。
先日の診察ではまだわからないと言われていて、わたしもまだわかっていない。
「楽しみだなぁ。男の子ならカイトとか、ワタルとか……女の子ならミナミとかも響きがいいな」
中々性別がわからなく待ちきれなかったのか、怜士さんは子ども部屋の壁紙を水色に改装していた。これなら男でも女でも、と意気揚々としている。
もうベッドからおもちゃから準備万端で、明日生まれてくれても良いほどだ。
「生まれたら、また船に乗って、家族でたくさん旅行へ行こうな。凛にも子供にも、いろんな世界を見せてやるからな」
怜士さんは、お父さんと同じことを言う。
『いつか、あのでっかい船にのせてやるからな! 世界中を旅しよう』
それを思い出して切なくなった。
お父さんも怜士さんも、わたしを、家族を愛してくれているのだ。
わたしはというと、新しい生活は順調でとても楽しく過ごしている。
怜士さんは仕事で家を空けることが多いが、その間は雅さんと美菜ちゃんが居てくれるから寂しさは感じない。
「あかちゃん、いつうまれるの?」
美菜ちゃんがお腹に耳を当てながら聞いた。
「みーちゃんのおとーと?」
怜士さんが笑う。
「性別はまだわからないんだってさ。あと、美菜と赤ちゃんはいとこだよ」
「う~?」
美菜ちゃんにはまだ難しい話だ。弟か妹ができると思っていて、雅さんが説明に苦戦していた。
みんな家族だと思ってくれているらしい。
子供は順調に育って、つわりも良くなった。二月に入り、子供はもう六カ月目になろうとしている。
「夏になったらだよ」
「えー。はっくあいたいなぁ~」
予定日は七月だ。
七月といえば、このベリが丘で初めての仕事をもらい、美菜ちゃんに出会ったころだ。
そこから怜士さんに出会い、恋に落ちて結婚に妊娠……。
たった一年で、生活も世界もがらりと変わった。
「美菜ちゃんは、わたしの幸運の女神だったのかな」
美菜ちゃんの髪をなで、一年前を懐かしむ。
「みーちゃんめがみしってるよ。きれーなの。りんちゃも、こんどめがみになうんだよね!」
結婚式のことだ。
予定は四月。お腹は少し大きくなっているが、なんとかドレスで誤魔化せそうだ。
怜士さんの希望で、わたしたちの結婚式はなんと船上で行われることになった。
それもロイヤルグリシーズほどではないが、豪華客船だ。わざわざベリガ丘港へ入港させ、そこで式が行われる。
なんでも、怜士さんは、クルーズウエディングの新プロジェクトを考えているらしく、まずは自分で試してみたいと言い出したのだ。
詳しくは教えて貰っていないが、豪華客船で、富裕層をターゲットとしたプランにしたいとかなんとか。確かに、結婚式をしてそのままバカンスにいけたら確かに楽しいかもとは思う。
勿論、わたしたちに海と船はとても縁があるので理由はそれだけではないが、仕事と絡めてしまうあたりが意外とちゃっかりしている。
取引先の社長など、海外からの招待客もとんでもなく多くて覚えきれない。
当日のわたしは、きっと目がまわってしまうだろう。
「美菜もおめかしするドレス選んだか?」
怜士さんが聞くと、美菜ちゃんは嬉しそうに話してくれた。
「えっとね、みじゅいろのね、でっかいリボンついてるの!」
美菜ちゃんには結婚指輪を運ぶ、リングガールをお願いしている。
「性別はどっちなのかな……早く知りたい。待ち遠しいよ」
怜士さんがお腹に手を当てた。
先日の診察ではまだわからないと言われていて、わたしもまだわかっていない。
「楽しみだなぁ。男の子ならカイトとか、ワタルとか……女の子ならミナミとかも響きがいいな」
中々性別がわからなく待ちきれなかったのか、怜士さんは子ども部屋の壁紙を水色に改装していた。これなら男でも女でも、と意気揚々としている。
もうベッドからおもちゃから準備万端で、明日生まれてくれても良いほどだ。
「生まれたら、また船に乗って、家族でたくさん旅行へ行こうな。凛にも子供にも、いろんな世界を見せてやるからな」
怜士さんは、お父さんと同じことを言う。
『いつか、あのでっかい船にのせてやるからな! 世界中を旅しよう』
それを思い出して切なくなった。
お父さんも怜士さんも、わたしを、家族を愛してくれているのだ。