笑顔の眩しい腹黒王子は、固い扉を蹴り破る
◇◇◇
壁の向こうでは、城の森に住むフクロウ達が鳴いている。
もう、どのくらい待っただろうか。依然として助けは来ない。
「静かだね」
「はい」
「不安?」
「はい……この部屋は、一体どこにある部屋なのですか?」
物置部屋は逃げ出したいくらいシンとしていて、夜の時間は長過ぎた。
皇太子ローレンスと二人きり、という状況に落ち着けるはずもないのだが、ローレンスはというと埃だらけのイスに腰をかけ、ゆったりとこちらを眺めている。
「ここは温室の裏にある物置小屋なんだよ。ほら、この本棚。薬草を記録した帳簿があるよね?」
「あ……本当ですね」
「久しぶりに来たよ。もう何年使われていないんだろうね」
今は亡き先代の王が使用していた温室は、庭の外れに位置していた。まだ先王が存命であった頃、モニカも温室へは足を運んだことがあるのだが、物置小屋にまで入ったことは無くて。
(人を閉じ込めるにはもってこいの場所だったのね……)
ここがあの物置小屋なら、ひと気がなくて当たり前だ。城からはかなり離れた場所にあって、現在は誰も利用していなくて……見つかる可能性は限りなく低いだろう。
モニカは頭を抱えた。このまま朝を迎えてしまったら、ローレンスは――
壁の向こうでは、城の森に住むフクロウ達が鳴いている。
もう、どのくらい待っただろうか。依然として助けは来ない。
「静かだね」
「はい」
「不安?」
「はい……この部屋は、一体どこにある部屋なのですか?」
物置部屋は逃げ出したいくらいシンとしていて、夜の時間は長過ぎた。
皇太子ローレンスと二人きり、という状況に落ち着けるはずもないのだが、ローレンスはというと埃だらけのイスに腰をかけ、ゆったりとこちらを眺めている。
「ここは温室の裏にある物置小屋なんだよ。ほら、この本棚。薬草を記録した帳簿があるよね?」
「あ……本当ですね」
「久しぶりに来たよ。もう何年使われていないんだろうね」
今は亡き先代の王が使用していた温室は、庭の外れに位置していた。まだ先王が存命であった頃、モニカも温室へは足を運んだことがあるのだが、物置小屋にまで入ったことは無くて。
(人を閉じ込めるにはもってこいの場所だったのね……)
ここがあの物置小屋なら、ひと気がなくて当たり前だ。城からはかなり離れた場所にあって、現在は誰も利用していなくて……見つかる可能性は限りなく低いだろう。
モニカは頭を抱えた。このまま朝を迎えてしまったら、ローレンスは――