十回目のお見合いは、麗しの伯爵令息がお相手です。
寝不足の理由
「ひどい顔をしているな」
翌朝。
玄関の掃き掃除をしていたフィーナのもとに、起きたばかりのカミロがやって来た。げっそりとしたフィーナとは対照的に、彼は朝から麗しい。
「クマが出来ているが」
「昨日は眠れなかったんです……一昨日も、眠れなかったですし……」
見合い前日も期待が膨らみ過ぎて眠れなかったのだが、昨日はカミロの謎行動でさらに寝つけなかった。そんなわけで、フィーナは二日連続で寝ていない。そりゃあ、クマも出来てしまうだろう。
「寝てないのか」
「そうです。カミロ様のせいですよ。カミロ様がワケわからな過ぎて、寝れるはずが無いじゃないですか」
寝れずにぐったりとしていたフィーナは、ついそれをカミロのせいにしてしまった。
昨日はあんなに念入りに支度をして十回目の見合いに臨んだのに、なぜかカミロが来たりするから混乱したのだし。彼の行動が理解できなくて、また今回も自分だけが空回りしているような気がして、少し腹立たしい気分にもなった。
更なる抗議をしようとするも寝不足でそんなエネルギーも無くて、無意識に目を逸らしてしまって。そんな彼女をじっと見下ろしていたカミロは突然、その寝不足な手を取った。
「カミロ様!?」
「俺のせいなんだろう」
カミロはフィーナの手を引いたまま、二階へと歩き出した。二階は私室が並ぶ、トルメンタ家のプライベートなエリアとなっている。
翌朝。
玄関の掃き掃除をしていたフィーナのもとに、起きたばかりのカミロがやって来た。げっそりとしたフィーナとは対照的に、彼は朝から麗しい。
「クマが出来ているが」
「昨日は眠れなかったんです……一昨日も、眠れなかったですし……」
見合い前日も期待が膨らみ過ぎて眠れなかったのだが、昨日はカミロの謎行動でさらに寝つけなかった。そんなわけで、フィーナは二日連続で寝ていない。そりゃあ、クマも出来てしまうだろう。
「寝てないのか」
「そうです。カミロ様のせいですよ。カミロ様がワケわからな過ぎて、寝れるはずが無いじゃないですか」
寝れずにぐったりとしていたフィーナは、ついそれをカミロのせいにしてしまった。
昨日はあんなに念入りに支度をして十回目の見合いに臨んだのに、なぜかカミロが来たりするから混乱したのだし。彼の行動が理解できなくて、また今回も自分だけが空回りしているような気がして、少し腹立たしい気分にもなった。
更なる抗議をしようとするも寝不足でそんなエネルギーも無くて、無意識に目を逸らしてしまって。そんな彼女をじっと見下ろしていたカミロは突然、その寝不足な手を取った。
「カミロ様!?」
「俺のせいなんだろう」
カミロはフィーナの手を引いたまま、二階へと歩き出した。二階は私室が並ぶ、トルメンタ家のプライベートなエリアとなっている。