十回目のお見合いは、麗しの伯爵令息がお相手です。
「フィーナちゃん、いる?」
カミロの動機に理由を付けて納得していたところ、フィーナを呼ぶディレットの声がした。振り返ると満面の笑みのディレットが、そそくさとこちらへやって来る。
「ディレット様、おはようございます」
「おはよう、フィーナちゃん。ねえ、今朝のカミロを見た?」
「いえ、まだお会いしていませんが」
「あの子昨日の花畑がよっぽど楽しかったのかしら、寝れなかったみたいでげっそりしてるの。ふふ」
「えっ」
カミロが寝不足など珍しい。普段から誰よりも朝に強いカミロが。昨日は花畑で慣れないことをして、疲れてしまったのだろうか。もしそうであれば、フィーナにも大きな責任がある。
「大丈夫でしょうか……」
「大丈夫よ。もし良かったら、フィーナちゃんはカミロにコーヒーでも持っていってあげてくれる? 喜ぶと思うの」
「は、はい!」
カミロの寝不足に責任を感じたフィーナは、とりあえず厨房へと向かった。たしかカミロは濃いめのコーヒーが好みだったはずだ。丁寧に濃いコーヒーを淹れていると、ちょうどそこに寝不足のカミロが通りがかった。
「カミロ様! おはようございます、今コーヒーをお持ちしようと……」
「……なぜ、フィーナが俺に?」
「ディレット様から伺いました。寝不足でいらっしゃると」
「母上か」
カミロは、たしかに寝不足のようで普段よりも覇気がない。いつも完成された姿しか見せない彼が、今朝はどこかあどけなくて。少し乱れた髪、ぐったりとした表情。カミロの弱々しい姿がとても新鮮に映ったと同時に、フィーナには強い罪悪感が生まれる。
カミロの動機に理由を付けて納得していたところ、フィーナを呼ぶディレットの声がした。振り返ると満面の笑みのディレットが、そそくさとこちらへやって来る。
「ディレット様、おはようございます」
「おはよう、フィーナちゃん。ねえ、今朝のカミロを見た?」
「いえ、まだお会いしていませんが」
「あの子昨日の花畑がよっぽど楽しかったのかしら、寝れなかったみたいでげっそりしてるの。ふふ」
「えっ」
カミロが寝不足など珍しい。普段から誰よりも朝に強いカミロが。昨日は花畑で慣れないことをして、疲れてしまったのだろうか。もしそうであれば、フィーナにも大きな責任がある。
「大丈夫でしょうか……」
「大丈夫よ。もし良かったら、フィーナちゃんはカミロにコーヒーでも持っていってあげてくれる? 喜ぶと思うの」
「は、はい!」
カミロの寝不足に責任を感じたフィーナは、とりあえず厨房へと向かった。たしかカミロは濃いめのコーヒーが好みだったはずだ。丁寧に濃いコーヒーを淹れていると、ちょうどそこに寝不足のカミロが通りがかった。
「カミロ様! おはようございます、今コーヒーをお持ちしようと……」
「……なぜ、フィーナが俺に?」
「ディレット様から伺いました。寝不足でいらっしゃると」
「母上か」
カミロは、たしかに寝不足のようで普段よりも覇気がない。いつも完成された姿しか見せない彼が、今朝はどこかあどけなくて。少し乱れた髪、ぐったりとした表情。カミロの弱々しい姿がとても新鮮に映ったと同時に、フィーナには強い罪悪感が生まれる。