十回目のお見合いは、麗しの伯爵令息がお相手です。

一度目の真実

 寝不足なカミロの出勤を見送ったあと、フィーナは街の表通りへと繰り出した。

 賑わいをみせる表通りには、評判の良いハーブ店があった。ハーブの茶葉やスパイスから石鹸やオイルまで、様々なオリジナル商品がずらりと並ぶ。店内はハーブの香りが混ざり合い、棚を眺めているだけでも心安らぐ店だ。

 フィーナは店に入ると、棚に所狭しと並べられた茶葉の缶を見渡した。

 (カミロ様にはどのハーブティーが良いかな……)

 安眠効果の強いハーブティーも良いけれど、朝のカミロの様子を見ているとなんとなく気持ちの問題のような気もする。そんな彼には、心を落ち着かせる効果を持つものはどうだろう。

 店員に効能を尋ねながら、ほっとする香りが評判の緑の茶葉と、爽やかな香りでリラックス効果のある茶葉を選んだ。カミロに飲んでもらうのが楽しみだ。
 ディレットとチェリにもお土産を買って帰ろう。きっと喜んでもらえる。フィーナは品物を買い求めると、足取りも軽く店を出た。



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