十回目のお見合いは、麗しの伯爵令息がお相手です。
「わあ、フィーナありがとう」
「ありがとうフィーナちゃん、とてもいい香り」
フィーナはリビングにいたディレットとチェリに、ハーブ店で購入したお土産を手渡した。ディレットにはほんのりお茶が香る上品なサシェを、チェリには彼女らしい甘いブレンドのアロマオイルを。二人はおおいに喜んでくれたが、フィーナの心が晴れることは無い。
「カミロには何を買ってきたの?」
「ハーブティーを買いました。寝不足のようだったので、寝る前に飲んでいただこうと思って……」
「うそぉ! お兄様が寝不足ぅ?」
チェリは、今朝カミロが寝不足であったことを信じられないようだった。
「あんなに図太いお兄様が、寝不足になんかなるかなあ」
「チェリ、恋の病よ」
ディレットは意味ありげに、含み笑いをチェリに向けた。その意味をチェリもなんとなく察したようで。
「お兄様もやっと自分の気持ちに気付いたのねぇ」
「遅い初恋ね。カミロも鈍いんだから」
ディレットとチェリが、カミロのことを楽しげに話している。けれどフィーナは、それをどこか遠くのことのようにボンヤリと聞いていた。
早く、カミロに会って確かめたい。
赤髪の彼の言うことが真実なのか、彼の口から聞きたかった。
「ありがとうフィーナちゃん、とてもいい香り」
フィーナはリビングにいたディレットとチェリに、ハーブ店で購入したお土産を手渡した。ディレットにはほんのりお茶が香る上品なサシェを、チェリには彼女らしい甘いブレンドのアロマオイルを。二人はおおいに喜んでくれたが、フィーナの心が晴れることは無い。
「カミロには何を買ってきたの?」
「ハーブティーを買いました。寝不足のようだったので、寝る前に飲んでいただこうと思って……」
「うそぉ! お兄様が寝不足ぅ?」
チェリは、今朝カミロが寝不足であったことを信じられないようだった。
「あんなに図太いお兄様が、寝不足になんかなるかなあ」
「チェリ、恋の病よ」
ディレットは意味ありげに、含み笑いをチェリに向けた。その意味をチェリもなんとなく察したようで。
「お兄様もやっと自分の気持ちに気付いたのねぇ」
「遅い初恋ね。カミロも鈍いんだから」
ディレットとチェリが、カミロのことを楽しげに話している。けれどフィーナは、それをどこか遠くのことのようにボンヤリと聞いていた。
早く、カミロに会って確かめたい。
赤髪の彼の言うことが真実なのか、彼の口から聞きたかった。