十回目のお見合いは、麗しの伯爵令息がお相手です。
「フィーナ、お前今日は外出するんじゃなかったか」
「はい、ただ今戻りました。カミロ様」
図書室を掃除していたフィーナのもとへ、名門トルメンタ伯爵家嫡男であるカミロ・トルメンタがやって来た。
彼は二歳上の二十歳。輝く銀髪にアイスブルーの瞳をしたカミロは、今日も変わらず麗しい。
彼の言う通り、フィーナは今日一日外出しているはずだった。予定通りなら、カフェで見合い相手と和やかな時間を過ごしていた頃だ。しかし予定は変わってしまった。最悪の形に。
落ち込んでいても仕方が無いので、普段通り掃除で気を紛らわせようとフィーナは考えた。トルメンタ伯爵家の屋敷は広く、掃除の手は一人でも多い方がいいだろうと、いつも時間を見つけては掃除を手伝うことにしているのだ。
「今回の相手はアトミス騎士団の新人だったか……そいつと会う予定だっだろう」
「はい。さきほど会ってきました」
「……まさか、またなのか」
「はい……そのまさかです」
『またなのか』。カミロの口からため息が漏れる。
それもそのはず、フィーナが縁談を断られるのはこれで九度目。公園で会っていた彼は、九人目の見合い相手だったのだ。
「はい、ただ今戻りました。カミロ様」
図書室を掃除していたフィーナのもとへ、名門トルメンタ伯爵家嫡男であるカミロ・トルメンタがやって来た。
彼は二歳上の二十歳。輝く銀髪にアイスブルーの瞳をしたカミロは、今日も変わらず麗しい。
彼の言う通り、フィーナは今日一日外出しているはずだった。予定通りなら、カフェで見合い相手と和やかな時間を過ごしていた頃だ。しかし予定は変わってしまった。最悪の形に。
落ち込んでいても仕方が無いので、普段通り掃除で気を紛らわせようとフィーナは考えた。トルメンタ伯爵家の屋敷は広く、掃除の手は一人でも多い方がいいだろうと、いつも時間を見つけては掃除を手伝うことにしているのだ。
「今回の相手はアトミス騎士団の新人だったか……そいつと会う予定だっだろう」
「はい。さきほど会ってきました」
「……まさか、またなのか」
「はい……そのまさかです」
『またなのか』。カミロの口からため息が漏れる。
それもそのはず、フィーナが縁談を断られるのはこれで九度目。公園で会っていた彼は、九人目の見合い相手だったのだ。