十回目のお見合いは、麗しの伯爵令息がお相手です。
両親との思い出もおぼろげなフィーナは、『自分の家族』というものに強い憧れを抱いていた。
早く結婚をして、早く『自分の家族』を作りたい。そして、あたたかい『家庭』というものを知りたい。そんな思いが両親を亡くした時からずっと、彼女の胸で膨らみ続けている。
早く、早く……。そう思い続けて十年。フィーナは結婚可能な年齢である十六歳になると、さっそく出会いに勤しんだ。
フィーナの恩人でありトルメンタ伯爵夫人であるディレットは、お見合いの仲人として手練であった。彼女はあちこちに顔が利くため、もう子爵令嬢でも無いフィーナにも、快く見合い話を持ってきてくれる。
老舗商店の息子。役所勤めのお役人。城の騎士……。
仕事が安定していて性格もそこそこ良くて、信頼できるであろう見合い相手を見繕っては、ディレットが後ろ楯となってフィーナを紹介してくれたのだった。
しかし……何が悪いのだろうか。
ディレットから紹介されるたび縁談に飛びつくフィーナだったが、いつも直ぐに先方から断られてしまうのだ。
「自信が無い」「君にはもっと相応しい人がいる」ついには「君と会うのが怖い」とまで。
なぜ振られるのか分からない。十六歳で見合いを始めて二年、十八歳になったフィーナはすでに九人に断られている。未だ『婚約』には至ってない──
早く結婚をして、早く『自分の家族』を作りたい。そして、あたたかい『家庭』というものを知りたい。そんな思いが両親を亡くした時からずっと、彼女の胸で膨らみ続けている。
早く、早く……。そう思い続けて十年。フィーナは結婚可能な年齢である十六歳になると、さっそく出会いに勤しんだ。
フィーナの恩人でありトルメンタ伯爵夫人であるディレットは、お見合いの仲人として手練であった。彼女はあちこちに顔が利くため、もう子爵令嬢でも無いフィーナにも、快く見合い話を持ってきてくれる。
老舗商店の息子。役所勤めのお役人。城の騎士……。
仕事が安定していて性格もそこそこ良くて、信頼できるであろう見合い相手を見繕っては、ディレットが後ろ楯となってフィーナを紹介してくれたのだった。
しかし……何が悪いのだろうか。
ディレットから紹介されるたび縁談に飛びつくフィーナだったが、いつも直ぐに先方から断られてしまうのだ。
「自信が無い」「君にはもっと相応しい人がいる」ついには「君と会うのが怖い」とまで。
なぜ振られるのか分からない。十六歳で見合いを始めて二年、十八歳になったフィーナはすでに九人に断られている。未だ『婚約』には至ってない──