十回目のお見合いは、麗しの伯爵令息がお相手です。
 フィーナの縁談について懸念を抱いてしまったカミロは、縁談相手を確かめずにはいられなかった。フィーナの『家族』になる男として、相応しいかどうか。

 浮気はしないと誓うか。
 フィーナより長生きする自信はあるか。
 フィーナを確実に、幸せに出来るのか。
 フィーナの、ただ一人の家族になる覚悟はあるのか────

 カミロは縁談相手になった男達に、それぞれ問い質した。
 それらはすべて、肯定で応えられなくてはならない。フィーナの家族として選ばれる、唯一の男なのだから。

 しかし皆、不甲斐ないものだった。
「まだ出会って間もないのに」「そんなことを言われても」と、自信なさげな返事ばかり。挙句、フィーナに断りの返事を申し入れる。

 あんな中途半端な覚悟しかない男達に断られ、落ち込むフィーナにも納得がいかなかった。十回目の縁談に向けて、張り切る彼女に憤りを感じた。

 いっそ、結婚などせずにトルメンタ伯爵家で暮らし続ければ良いではないか。トルメンタ伯爵家は……必ず、これからもフィーナを大事にする。だから心を開けば良い。家族として、もっと甘えればいいのに。

 そんな時、彼女が言ったのだ。
「次、見合いに来た男を好きになる」と。

 その瞬間、思ってしまった。



 では、それが自分なら────?

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