私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました【コミカライズ決定】
「……とりあえずそれっぽい本を数冊持ったから、中身を確認してくるわ」
小さな声でフェリクスにそう伝えるなり、私は空いた席に座り分厚い本のページをめくった。
霊とか不可解現象について書かれているその怪しい本は、普段なら絶対に手に取ったりしないものだ。
死んだはずの人間が夜に──って違う違う違う!!
これじゃないわ!!
パラパラ……
誰もいない部屋で突然──ってこれも違う!
えっと、他には……
「アリエル」
「きゃあっ!!」
突然背後から声をかけられて、思わずビクーーッと過剰反応してしまった。
振り向くと、目を丸くして私を見ているフェリクスと目が合った。
驚いたその顔は、だんだんとニヤけ顔に変わっていく。